安全確保への声を全て禁圧! 安全運転も、ビラ撒きも、汽笛吹鳴も、雑誌インタビューも …JR東日本

あり得ないほど安全に対する姿勢が欠けています。スピード化や合理化が進み、安全がおざなりにされてしまうのではないかと懸念しています。命はお金で買えない。乗客ではなく命を運んでいるのです。それを胸に刻んで電車を動かしてほしい。
人間として当たり前のことができる会社と、できない会社、その差に事故の原因があると思います。

尼崎事故追悼式での遺族の言葉

JR東日本は、安全運転闘争への不当処分を強行したばかりか、安全の危機に声をあげようとする一切の行為を禁圧しようとしている。尼 崎事故1周年、事故発生時刻(9時19分)の汽笛吹鳴も、駅でのビラまきも、雑誌のインタビューに応じたことも、全てを特高警察のように監視し、圧殺しよ うというのである。まさに異常としか言いようのないやり方だ。

 3月10日から計画している安全運転闘争は、以前にも警告したとおり、会社の もつ運行管理権を奪う違法な争議行為であり、貴組合の本部役員に対し、「厳重に注意する」旨を書面にて行なったところであり、かような違法行為に対して は、今後も厳重に対処せざるを得ないことを警告するものである。

これは安全運転闘争に対する千葉支社から組合への申入書である。職場には「自己の本分をわきまえ、会社の命に服せ」という、まるで封建時代の悪代官が書いたような「警告書」が張り出された。そして管理者を総動員した監視・現認が行なわれ、一時金10%カット+昇給カット(戒告)という不当処分が強行された。

汽笛吹鳴まで監視・現認!

われわれは尼崎事故1周年の4月25日、事故発生時刻に、107名の犠牲者への追悼、安全を軽視するJRへの抗議、二度と尼崎事故を 許さない決意を新たにする思いを込めて、一人ひとりの運転士が汽笛を吹鳴しようと確認したが、このささやかな行為に対してまで、中止の申し入れを行なって きた。職場には再び「警告書」が掲出され、点呼で処分の脅かしが行なわれ、この時間に乗務中の運転には、再び監視要員2名が張りつけられた。一体何という ことか。「勤務時間中の組合活動だ」「お客さま、沿線住民に迷惑をかけるから処分だ」という。信じられない。これはJRの経営者たちの感覚がどれほど乗客 や現場の労働者とかけ離れているのかを示している。あるいは、どんな理由をつけようと、とにかく安全について声をあげる者は全て処分するという結論だけが 先にあるということだ。

 貴組合は、……4月25日9時19分に「汽笛吹鳴」行動を計画しているようで あるが、かかる行動は、勤務時間中の組合活動にあたるとともに、行為の場所と態様によっては、お客さま及び沿線住民の方々にご迷惑をおかけするおそれがあ るなど、決して行なってはならない行為である。したがって、……「汽笛吹鳴」行動について、中止を早急に検討するよう強く求めるとともに、仮にこのような 行為を行なった組合員に対しては、厳重に対処せざるを得ないことを申し添えるものである。

ビラ撒きにも中止の申し入れ

さらには、駅頭でのビラ撒きに対しても、JR千葉支社は中止の申し入れを行なってきた。「レール保守が著しく安全を損なっているとの 印象を与え、お客さまの信頼をいたずらに損ねている」というのだ。だが、信頼を損ねたのは尼崎事故やレール破断という起きてはならない事故が頻発している からだ。ビラ撒きによってではない。本末転倒!。要するに事実を事実として伝えることを禁圧し、隠ぺいしようというのである。レール破断を「ひび」と発表 しろと内部文書を回したのと同じ発想だ。そして声をあげる者は力ずくで抑え込もうというのだ。

 あたかも当社のレール保守が著しく安全を損なっているとの印象を与え、また、 ことさら安全より労務政策が優先であるとの誤解を与える内容を抗議行動等で繰り返し発信している。……お客さまの信頼をいたずらに損ね、当社の信頼を失墜 させる意図をうかがわせるこのような発信は当社として極めて遺憾である。……上記行動等に対して、厳重に抗議するとともに直ちに中止することを申し入れる ものである。

雑誌のインタビューまで処分

さらにJR東日本は、国労の保線労働者が、雑誌のインタビューに答えて、保線作業やレールの危機的現状を率直に語ったことまで処分し た。「勤務時間外に雑誌のインタビューに答えて会社の信用を傷つけた」というのだ。まさに本末転倒した違法・不当な処分だ。なりふり構わない言論封殺。ど んな手段を使ってでも、安全の危機について、現場からの告発は、一言といえどさせないということだ。

 社員として、勤務時間外に雑誌のインタビューに応じ、会社の信用を傷つける発言をしたことは、社員として著しく不都合な行為である。今後このような行為を繰り返さないよう厳重に注意する。

われわれの闘いを恐れている

「絶対に現場から声をあげさせるな!」。今JR東日本の職場は、こと安全問題に関してはまさに戒厳状態だ。だが、それこそ安全を崩壊 させる行為である。そして安全がいかに危機に瀕しているのかを示すものだ。安全の確立を求める声を圧殺するために膨大な人員やエネルギーを投入する余裕が あるなら、なぜそれを安全確保のために使わないのか。
だがこれは、運転保安確立に向けたわれわれの闘いが大きな波紋を広げていることを恐れているのだ。これは譲ることのできない闘いだ。さらに闘い続けよう。

教育基本法改悪案の上程を弾劾する

教育の憲法とも言える教育基本法改悪案が、4月28日、閣議決定され国会に上程された。教育基本法は憲法と一体のものであり、「国民投票法案」の今国会への上程策動とあわせ、ついに憲法改悪への具体的スケジュールが動き出そうとしている。

「公共の精神」「伝統の継承」

現行教基法は、その前文で、「世界の平和と人類の福祉に貢献しようと決意した日本国憲法の理想の実現は、根本において教育の力にまつべきである」とうたい、次のとおり定めている。

 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな 文化の創造をめざす教育を普及徹底しなればならない。ここに日本国憲法の精神に則り、教育の目的を提示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この 法律を制定する。

個人の尊厳を尊重し、真理と平和を希求する人間の育成を教育の実践的目標として宣言したたのである。
ところが、上程された改悪案では、その前文に「公共の精神を尊び」とか「伝統を継承し」とかの文言がもり込まれ、「真理と平和の希求」のうち「平和」の 文字は削除された。「公共の精神」「伝統の継承」は、「現在の教基法は個人の権利尊重に偏っている」との議論のなかでもち込まれたものだ。これによって教 育の基本が明らかに変更されようとしている。「公共の利益」とは「国家・政府の利益」という意味だ。「伝統の継承」は、即天皇制とか愛国心と結びつけられ ている。「つくる会教科書」のような、日本の伝統=天皇を中心とした「神の国」論が教育の基本精神になるということである。

「愛国心」が教育の基本精神に

それは、第二条で、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うこと」を「教育の目標」とすると、より具体的な表現になっている。愛国心=「日の丸・君が代」教育が、教育の基本にすえられるということだ。
「国旗・国歌法」成立時、国会審議では、「強制するものではない」と答弁されていが、現行教基法の下ですら、職務命令による強制-処分である。それがこ のように改悪されたら、学校で何が起きるかは明らかだ。実際すでに、福岡市の小学校では「愛国心」を通知表で評価していることが02年に明らかになってい る。こうしたことが法的な根拠を得て、子供たちの「愛国心」が評価の対象となり、教職員は「愛国心」の教育実践において試されることになる。

焦点としての第10条

さらに、現行教基法は、第10条で次のように定めている。

 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行なわれるべきものである。

この条文は、教基法の核心中の核心をなすものだ。言うまでもなくこれは、かつての天皇制教育の下に悲惨な侵略戦争に突き進んでいった歴史への反省を込めて定められたものだ。
だが、今回の改悪案では、この条文をめぐり、とんでもないペテンが行なわれている。
政府や財界は「10条を削除しろ」と要求し続けていた。だが、それへの抵抗の声は大きかった。小泉が今回の改悪案でやったことは、その意味を180度逆転させるというペテンである。改悪案は次のようになっている。

意味は180度逆転した!

 教育は不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行なわれるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行なわなければならない。

「教育は不当な支配に服することなく」という一文は残したが、その後に続くのは「この法律及び他の法律の定めるところにより行なわれ るべきもの」である。こうなったとたんに、残された文章も全く意味の違うものになった。国家権力や行政権力の不当な支配に服してはならないという意味だっ たものが、愛国心や「日の丸・君が代」の強制に反対する教職員や父母、生徒などの声に屈服してはならいという意味に、まさに180度逆転してしまったの だ。
「改悪」というが、これは現在の教基法を廃止して全く別なものに置き換えてしまうに等しいものだ。明確に憲法改悪と一体の攻撃である。教育基本法改悪を断じて許してはならない。憲法改悪を阻止しよう。

「共謀罪」を廃案に!

教育基本法の国会上程が強行された同じ4月28日、国会では、共謀罪新設法案が、自・公両党によって強行採決されようとしていた。急を聞いて国会前に駆 けつけた抗議団の声やマスコミ等も一斉に反対する状況のなか、寸前のところで強行採決は阻止されたが、小泉政権は、連休明けにも再び採決強行を画策してい る。絶対に許してはならない。
これは「治安維持法法の再来」と言われる恐ろしい法律だ。「犯罪」の実行行為がなくとも、相談した段階でその場にいた者を一網打尽に逮捕できるというのだ。適用となる犯罪は600以上、5年以下の懲役とする新法案である。
またそのために密告が奨励され密告者は罪が免除される。さらに、盗聴やスパイが横行し、戦前のような密告社会が生まれることになる。
労働組合が執行委員会で議論したこと、市民団体が会合で話し合ったことなど密告者さえいれば、それが犯罪とされ、逮捕される。ビラ撒が「犯罪」とされ、 不当逮捕が相次いでいる現実を考えたとき、まさにこれは「現代の治安推持法」に他ならない。絶対に成立を阻止しよう。