労働者は一つ 韓国・民主労総全国労働者大会(ソウル)に参加して

─ 11・10~12訪韓報告 ─

ソウル市庁前を埋め尽くす5万人の労働者-全国労働者大会
非正規職労働者集会で登壇して発言
ハイテクRCDコリア支会の職場を見学
動労千葉と訪韓団全員とソウル地域本部

民主労総労働者大会に参加して、11・4労働者集会は未だ5700名の結集という小さな闘いながら、世界史的存在としてあることを確信することができた。
11月11日の民主労総労働者大会は、非正規職保護法の撤廃と韓米FTA(自由貿易協定)の国会批准阻止が二大課題であった。とくに韓国では、この7月から非正規職保護法が施行されたが、それは「 保護」 の名称とは裏腹に、すでに全雇用労働者の6割余りを占めている非正規職労働者を2年でどんどん使い捨てて解雇していくための法律だった。実際、7月の法施行を前に全国で膨大な労働者の解雇攻撃が吹き荒れたのである。
こうした状況を背景として、労働者大会は政府による「 源泉封鎖攻撃」 と対決する激しい衝突の場となった。源泉封鎖攻撃とは、労働者・農民が全国からソウルに集まってくることを源泉=元から止めてしまうということだ。ノムヒョン政権は、各地で空港や道路を警察権力の手で封鎖してソウルへの結集を阻み、会場に予定されていたソウル市庁舎前の広場も封鎖して、労働者大会を開催することそのものを許さないという大弾圧を加えたのだ。こうした状況の中、労働者大会は機動隊と衝突して実力で会場を奪い返すことによって開催され、労働者大会の終了後は、結集した3万5千の部隊が二手に分かれて青瓦台(大統領府)につながる光化門に向けて進撃し、再び警察権力とぶつかる激しい闘いとなった。バスや装甲車で幾重にも道路を封鎖し、放水で進撃を阻もうとする機動隊に対し、民主労総の部隊はバスによじ登って乗り越え、ロープをかけてバスを引っ張り、果敢に闘いを挑んだ。機動隊も万という部隊を前に、進撃を止めるのが精一杯でそれ以上の攻撃はできない。ソウルの中心街は解放区のような状態であった。
また、ソウルへの結集を阻まれた6万5千の労働者や農民も、その場で権力と激しく衝突し、全国各地で譲ることのできない闘いが燃え上がった。

前夜祭をめぐる攻防

一方、ソウル地域本部からは、労働者大会をどのような方針で開催するのかをめぐって、民主労総本部と左派の間で激論が行われているという連絡が訪韓前から幾度も届いていた。当初は前日10日の前夜祭が屋内の体育館で予定されていたことに対し、ソウル本部を始めとした現場左派が、1000名の非正規職労働者を解雇したイーランド資本(大手スーパー)との闘いとして、その店舗前の広場に変更するべきだと声をあげたのだ。民主労総本部が、民主労働党(民主労総がつくった政党。国会議員9名を擁している)も立候補を予定している大統領選挙に全体の闘いを集中させようとしていることに対し、現場からの闘いこそが重要なのではないかというのがソウル本部を先頭とした現場派の主張である。
結局前夜祭の会場は現場のヘゲモニーによって変更され、イーランド資本傘下のホームエバー岩上店前の巨大な広場で開催されることになった。ホームエバー店はワールドカップスタジアムの中に併設された巨大なスーパーだ。われわれが到着したときには、スタジアム周辺はホームエバーの店舗を防衛するかたちで、膨大な数の機動隊とバスで制圧されていた。そこのすぐ近くで集会を開いていたソウル本部の部隊がデモで到着し、そのまま街頭に進みでて、周辺の道路を制圧して闘いが始まった。気が付くと金属労総の部隊など、部隊は万という人数に膨れ上がっている。ここでも集会を開きながら機動隊との激しい闘いとなった。目的はしつこく営業を続けるホームエバーの営業を中止に追い込むことだ。結局、夜10時、ホームエバーはついに営業継続を断念した。沸き上がる歓声の中、部隊は広場に移動し、それから前夜祭が始まった。

凶暴化するノムヒョン政権と労働運動をめぐる分岐

こうした事態の火中に韓国を訪れて何よりも感じたのは、ノムヒョン政権─韓国の支配体制が決定的な危機にたっているということであった。ソウルに10万人の労働者・農民を結集させてしまったら、大統領選を待たずにノムヒョン政権が倒れ、一挙に革命的情勢に突入しかねないという危機感が「 源泉封鎖」 という、これまでにない攻撃の凶暴化を生み出しているということだ。この間の構造改革攻撃への怒りの声が噴出し、自民党支配が崩壊しようとしている日本の状況と全く同じだ。
そしてそうした情勢の中で、韓国の労働運動をめぐっても、激しい分岐が起きている。昨年の労働者大会の時に、ソウル本部のイジェヨン副本部長(現本部長)が動労千葉訪韓団に対し、「今日の集会は犬のような集会だった。現場の労働者は崩れつつある民主労総の現状に涙を流していた」と訴えたことの意味が、今回の訪韓によって本当の意味ではっきりした思いがした。そしてこの1年間ソウル本部の同志たちが、そうした現状をのり越えるためにどれほど必死に闘っていたのかということが限りなく鮮明に理解できたのである。

ハイテクRCDコリア支会を訪問

最後の日は、昨年の11月集会に参加してくれた、九老(クロ)工業団地のハイテクコリア(ラジコンのコントローラー等を作っているメーカー)の現場を訪ねた。ハイテク支部の闘いについては、私たちの訪韓の少し前に、5年にわたる闘いを貫いて解雇を撤回させたという連絡が入っていた。彼女たちは「まだ半分の勝利です。ハイテク資本はここの工場そのものを別法人化し、廃止しようと画策している。私たちは完全な勝利をかちとるまで闘い続ける」と報告している。
この日、ハイテク支部の仲間たちは、何とストライキに入って、手作りの昼食を用意して日本からの代表団を迎えてくれた。闘いの経過や現状を伺い、工場内も見学して交流。妨害に出てきた職制をものすごい迫力で追い出す場面もあって、最後の勝利の日まで連帯して闘う決意を一層強めた。

問われている課題は同じ

帰途の空港に向かう車中でイジェヨン本部長からは、「今労働運動に必要なのは社会主義の思想だ。ぜひつっこんだ討議の場をもちたい」という訴えがあった。民主労総の仲間たちも、この現状を打開するために何が必要なのかを必死で模索しているのである。われわれの闘いは、民主労総の闘いと比べればまだ足元にも及ばないにしろ、ソウル本部の同志たちが直面し、必死に打開しようとしている課題は、今われわれが直面し、11月集会の組織化を軸として直面している課題、のり越えようとしている壁と全く同じだという思いをさらに強くした訪韓であった。
実は、10月20日にサンフランシスコでの国際反戦会議に招かれたときの討議も全く同じであった。「労働運動、反戦運動の中に、労働組合官僚たちと真正面から対決して職場から闘いを組織するのか否かをめぐって分岐が起きている。だから、戦争に反対するストライキやピケットで生産を止める直接行動という旗を押し立てることができるかどうかが決定的だ。動労千葉やRMT(英国国労)、ILWUはそれをやってきた。今回の会議の目的はその旗を押し立てることにある」ということであった。アメリカでもわれわれが11月集会の組織化を通して挑戦している課題と全く同じことが問題となり、必死の努力が続けられていた。
こうした意味で11月集会を通して実現してきた日韓米労働者の国際連帯は、無限の可能性を秘めていることを改めて確信することができた。問われているのはわれわれ自身だ。この1年、全身全霊を打ち込んで、「職場から闘いに立ち上がり、闘う労働組合の共同センター、労働学校を全国各地に網の目のように組織しよう」という07年11月集会のアピールを実現しなければならない。