入換信号機にATSを! 構内事故防止対策の抜本的見直しを

 4・6幕張構内事故は、放置され続けてきた構内の安全対策、事故防止対策の必要性を改めて照らしだした。運転士個人の責任に帰することは絶対に許されない。

▼職場の声は放置された

事故のあった幕張車両センター南引き上げ線は、現場では2つの面からずっと安全対策、事故防止対策の必要性が指摘され続けていた箇所であった。
現場の要求は、何よりも第1に、ATSの設置であった。例えば03年12月の安全衛生委員会の議題として労働者側委員(動労千葉)からの提起に基づいて議論がされている。しかし会社側委員の回答は、「費用がかかるためできない」であった。
もうひとつの問題は、入換信号機のすぐ先に設置されている2機(水洗い用と、洗浄剤塗布用)の洗浄機の始動ランプによって、つれ込まれそうになるという 誰もが経験していた問題点に対する対策である。しかしこれも、始動ランプの色を変えてみるということが行なわれただけで、抜本的な対策はとられなかった。
今回の事故も、洗浄機の始動ランプの点灯によって連れ込まれた事故であった。
ATSがあればこの事故は起きなかったし、つり込まれ対策が行なわれていれば起きなかった事故である。

▼危険と背中合わせ

南引き上げ線がつねに構内入換作業の安全対策についての議論の焦点になっていたのは、幕張車両センターでは、ほとんどの入換作業が、 この引き上げ線を使用して行なわれるからである。実際現場は、転線する列車や「洗い」にかける列車が、次から次へとここに引き上げられ、振り分けられてい く。
しかもその合間に、幕張駅側からの入出区があり、その入出区線は、洗浄機のすぐ先で、南引き上げ線とクロスしているのである。すぐ脇を通る入出区線(南 通路)の入換信号機にはATSが設置されているのに、南引き上げ線には設置されていないというのは、明らかに安全対策の不備と言わざるを得ない。
こうした危険と背中合わせの入換作業が、人間の注意力だけで行なわれてきたのである。

▼徹底した構内・仕業合理化

構内・仕業グループは、国鉄分割・民営化攻撃が開始されてから今日まで、最も激しい合理化攻撃にさらされてきた。
▼ 当初は、構内運転と仕業検査、誘導業務はそれぞれ独立した業務であった。例えば幕張電車区では、国鉄分割・民営化に向けた大合理化が86年3月ダイ改 で強行されるまでは、構内運転士33名、仕業検査35名の要員配置があった。それが現在は半分以下だ。このダイ改で仕業検査周期が24時間毎から72時間 毎に延伸され、大幅に要員が削減されるとともに、仕業検査と誘導業務が融合化された。その仕業検査は現在は「6日~10日毎」まで延伸されている。
▼ さらにその後、構内運転と仕業検査、誘導業務という3つの業務が融合化され、1人の労働者が全てをこなさざるを得ないようにされ、今の要員数まで削減されたのである。
▼ しかもその過程で入換作業は、かつては誘導担当が添乗誘導していたものが、「入換合図の継続表示の省略による入換」などという考え方が導入され、通告だけすればよいことになった。
▼ 国鉄-JRをまたいで行なわれた構内・仕業グループの合理化攻撃は、安全を徹底的に犠牲にし、切り捨てるものだったのである。しかも、それに応じて保安設備が充実されたかというと、これまで述べてきたとおり、ATSの設置すら行なわれなかった。
▼ 構内は、入換標識が入換信号機に変わり、電子連動化され、……という機械化が進められた。だがこれは、入換信号機に変わることで誘導担当等による通告 の必要性も無くなるなど、要員削減を進めるためのものではあっても安全性を向上するためのものではなかった。むしろ構内運転士ひとりの肩に全責任がのしか かることになったのである。
▼ その結果、仕業検査を叩いては、転線作業に飛んでいき、手のあいたときは、臨時の転線作業を行い、あるいは誘導担当として通告に行くという作業形態が しいられることになった。幕張では、臨時作業が入った場合などは、構内助役までハンドルをもって入換作業に飛んでいくということが日常化している。これで は事故が起こらない方がおかしい。

▼合理化が業務を歪めた

幕張では「日勤1」という全体の入換作業やその間に行なわれる車両整備会社による清掃作業など、全体を指示・伝達する要員が置かれて いるが、こうした合理化によって作業ダイヤどおりには日々の作業を行なうことができなくなった結果、「日勤1」担当が、例えば、本来管理者でなければでき ないはずの、休憩時間の変更を伴う業務指示まで行なわざるを得なくなっている。これも千葉支社との団体交渉で問題点を整理し、それは管理者の業務であるこ とを確認したにも係わらず、現場管理者が責任をもったのは一時だけであった。その背景には、管理者が、複雑な構内作業全体を采配し、指示する力をもってい ないという現実がある。
無理な合理化・要員削減が、構内業務全体を歪めてしまっているのだ。
 こうした問題点に抜本的なメスを入れない限り事故はいつ再び起きてもおかしくない。抜本的な安全対策を行なえ。当該労働者への事故責任転嫁を許すな!