DC通信No.200

2014/5/21

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仕業検査の本務指定の強行に反対し5・2ストを貫徹

 5月2日、CTSはプロパー採用の仲間への仕業検査の本務指定を強行しました。まともな教育も行わずにです。それに対し、動労千葉はストライキを闘いました。それは鉄道の安全を守り、プロパー採用の仲間たちを絶対に犠牲にしないためです。

鉄道140年の歴史で築いた安全が破壊される

 そもそも4月25日の勤務発表時には、CTS幕張事業所のプロパーの仲間2人に対して、新人同士で仕業検査を行わせようとしていました。しかし、職場での抗議、そして動労千葉が争議行為の通知を行ったことで、新人同士のペアは早々に解消されました。CTS自身、まともに検査できる体制でないことをわかっていたのです。
 しかし、CTSはプロパーの仲間への本務指定は強行しました。団体交渉の場で、「5月から本番とはしない」と回答していたにもかかわらずです。
 仕業検査につくには、国鉄時代には10年、JRでも3年の経験が必要でした。それをわずか半年の交番検査見習と5回の仕業検査見習で、本務指定を強行しました。業務外注化によって検査修繕業務の根幹が崩れ落ちようとしています。この安全破壊を見過ごすことは絶対にできません。

CTSプロパー採用の仲間を犠牲にしてはならない

 このストライキは、何よりプロパーの仲間を絶対に犠牲にしないための闘いです。 まともな教育・訓練もなく仕業検査をやらされるプロパーの仲間に、本来何の責任もありません。しかし、ひとたび事故が起きれば、やらせた会社も管理職も一切責任を取ろうとしません。責任を全て当該労働者に押しつけ、切り捨てていくのです。
 外注化の目的は労働者を安くこき使って儲けることです。そのために、プロパーの仲間を犠牲にしようとしているのがJRでありCTSです。こんなことは絶対に許せません。
業務外注化を粉砕し、すべての仲間と仕事を取り戻すまで闘いぬこう!


採用から1年、交番検査(機能保全)

これで本務指定を強行して
総合的技術をもつ労働者はつくれない?!

それなら外注化をいますぐ撤回しろ!

 CTSはプロパー採用の仲間たちに仕業検査の本務を強制しながら、十分な技術・経験がないことを自ら認めています。
 仕業検査は、列車が本線に出る前の最後の検査です。それを二人一組で行います。十分な経験や技術力ぬきに成り立つ仕事ではないのです。
 しかも、CTSは、団体交渉において、「総合的技術」をもった労働者を養成することはできないと回答しています。 これでCTSがすべての業務を行うようになれば、仕業検査を行う技術は完全に失われます。検修・構内業務外注化からわずか1年半、瞬く間に安全が崩壊させられようとしているのです。
 外注化で安全を切り捨てるJR―CTSを許すことは絶対にできません。

CTSプロパー社員こそ最大の被害者

CTSの団体交渉での回答

・JRが求める検修は、総合的な技術力を有する労働者を作ること。CTSは、受託業務について、JRが示した仕様書に則って作業を履行すること

・CTSはJRと同じ総合的技術を持つ労働者をつくることはできない

・新人同士のペアを解除したのは、「新人同士でどうなのか」「ベテランの知識を教わることも必要」との声が出たから。

・新人同士では時間がかかり、トラブルが発生しても判断ができない場合がある。

 何より、最大の被害者はCTSプロパー採用の仲間たちです。 こんな教育だけで仕業検査をやらされれば、故障の見落としなどのミスがでるのは当たり前です。そうなれば不完全なまま車両が本線にでて重大事故につながります。
 作業させられるプロパーの仲間は、不安を抱えたままのはずです。しかし、事故になれば責任を取らされるのはプロパーの仲間たち自身です。やらせた幹部連中は一切責任をとりません。プロパーの仲間を犠牲にしないためにも、仕業検査の本務指定は絶対に認められません。
 そもそもCTSには、JRのような教育を行う部署もありません。車両の検査・修繕業務を技術指導する基盤そのものが存在しないのです。そんな会社に業務を委託するJRにこそ最大の責任があります。
 JRは今すぐ外注化を撤回し、出向者とプロパー採用の仲間をJRに戻せ!


北海道の安全崩壊と同じことが起きる

JR東日本―CTSは実際上、仕業検査を形の上だけやったことにしてすませようとしています。行き着く先はJR北海道の安全崩壊とまったく同じ現実です。
 JR北海道では、レール検査で異常が発見されても、人も資材も足らず現場には回しませんでした。異常を放置せざるを得ない状況の中、「データ改ざん」で形の上だけ問題ないことにしてきたのです。 そういう状態が2 0 数年続いてきました。いつか大事故になることは現場の誰もがわかっていたはずです。 その間、次々に業務を丸投げ外注化していきました。労働者は非正規に突き落とされ、検修業務を時給700円程度の労働者が行っていたともいわれています。まともに技術が継承できるはずもありません。そして、“ JR内でも最高水準” といわれた保線技術も完全に失われていきました。
 JR東日本―CTSはまさに同じ道をたどろうとしています。絶対に外注化を撤回させなければなりません。


 

外注化解消で子会社労働者 約840人が直接雇用に

(阪急電鉄、09 年10月)

@ 鉄道業務外注化の先頭を走ってきた 阪急電鉄は、駅業務などを分社化。車掌業務の外注化も進め、子会社から本体に出向させて乗務させていた。運転士まで子会社で採用・養成する計画もあった。

A 外注化が職場を破壊。委託を解消 「安全強化」、「偽装請負」、「迅速な対応ができない」、「待遇格差による士気低下」を理由に業務委託を解消した。

B 子会社の労働者も本体の直接雇用に 子会社に採用された駅員や乗務員など約840人の労働者が本社の直接雇用に。

 雇用と安全を破壊する外注化は、すぐにでも解消されなければなりません。そして、外注化が解消されれば、CTSに採用された仲間も、JRから強制出向に出された仲間も、全員が仕事とともにJRに戻る権利があります。
 その仕事のために雇われたのだから、仕事と一緒にそこで働くものも戻るのは当然のことです。

阪急電鉄では実際に子会社から直雇いに

 実際、阪急電鉄では、外注化の解消に伴って約840人の労働者が外注先の会社から直接雇用に切りかわりました。 阪急電鉄が外注化を解消した理由は、「安全強化」「偽装請負を疑われる」「迅速な対応ができない」「待遇の格差による士気低下」でした。

外注化が職場と安全を破壊

 阪急電鉄は先頭を切って鉄道業務の外注化を進めていた会社です。車掌業務は下請け会社からの出向で、本体の熟練労働者と下請け労働者が混在しながら乗務させていました。さらに、運転士まで外注先で採用・養成する計画さえ立てられていました。 しかし、外注化は解消されました。職場が成り立たなくなっていったからです。
 外注化が「偽装請負」という違法行為にならないためには、本体と外注先の労働者間で直接のやり取りは出来ません。運転指令、駅、乗務員の連携の際にも、本体会社から外注先の作業責任者を一つ一つ通さなくてはなりません。
 また、同じ車掌でも賃金などの労働条件に大きな格差が生じました。その格差は、労働者のやる気を失わせていきました。 外注化によって職場が破壊され、解消せざるをえなくなったのです。

今すぐ外注化を撤回して、すべての仕事と仲間をJRに

 外注化の目的は、どこまでも労働者を低賃金に突き落とし、会社だけはさらに儲けようとすることです。そして、職場はバラバラにして安全も破壊していきます。JR−CTSは今すぐ外注化を撤回し、仕事とともにすべての仲間をJRに戻せ!



外注化は全面的な分社化へ 
 外注化はすべての業務の外注化・分社化にいきつきます。それを、新津車両製作所の分社化と子会社である総合車両製作所(旧・東急車輌)への統合が示しています。
 JRは12年4月に東急車輌を買収・子会社化しました。そして業務外注化から、今年4月の分社化・統合にまでいきついたのです。そこで働くJR本体の労働者はすべて下請け会社に出向を強制されました。
 検修部門でも外注化が進行すれば、交番検査(機能保全検査)も含めて検修業務丸ごとの外注化・分社化まで行き着きます。

分社化後1年で昇給解体へ 

 分社化は、たちまち雇用の破壊をもたらします。東京では昨年4月から駅業務を下請け会社から分社化し、JR東日本ステーションサービス(JESS)がたちあげられました。そして1年もたたないうちに、当初あった定期昇給を解体する賃金制度が提案されています。

生涯で昇給はたった3回

 提案では、全員が「エキスパート社員」として採用されます。定期昇給はなく、5年ごとに3回の昇給があるだけです。基本給も最大で21 万円以上になりません。
 駅の現場で働く人はほとんどエキスパート社員のままです。ごく一部の幹部社員以外は定期昇給もないのに「正社員」。外注化が、まさに「名ばかり正社員」という実態をもたらしたのです。 外注化は働く者すべての雇用を破壊します。絶対に認められません。


<半数以上が非正規職に>
◎乗務員29 名中15名が非正規職。
◎船長は1年契約、操舵手3名も全員6 ヶ月〜1年の契約職員。
◎安全の核心である甲板員と機関部の船員17名中12名(70.5%)非正規職。
◎機関部職員の中には出港当日に採用され契約書も無しに乗船した人も。

<非常時に対応できる状況ではない>
◎法律で定められた非常時の安全訓練も一切なし
◎お互い名前も知らない状態で、正規・非正規に分断されている。
→船長を頂点とする指揮命令系統も崩壊

<事故が起きることはわかっていた>
◇日本で廃船同然の船に規定の3倍の積み荷。
◇船を安定させるための「バラスト」に水が入っておらず、バランスが取れない状態だった。

船長も1年契約

 1 月16 日に起きた韓国セウォル号沈没事故は、262人が亡くなり40 人が行方不明(5月6日時点)になっています。 船長や航海士に殺人罪の適用が検討されています。しかし船長を含む半数以上の船員が半年から1年の契約社員、安全の核心である甲板・機関部では7割が非正規でした。非常時の安全教育もまったく受けたことがなかったのです。

正規・非正規で分断

 船員は正規雇用と非正規に分断され、気持ちもバラバラでした。非正規への差別的な扱いがあり、船長自身が契約社員で指揮命令系統も崩れていました。その結果、船員が一丸となって事故に対応できなくされてしまったのです。

会社にこそ責任ある

 日本で廃船寸前だった船に積載容量の数倍も荷物を積んだことが事故の直接の原因です。労働者を非正規雇用に突き落とし、利益のために安全を切り捨てた会社と規制を緩和した政府にこそ事故の責任があります。
 それを自分たちの責任逃れのために船長・船員になすりつけすなど、許しがたいことです。


データ改ざんは組織的に行われた

 JR北海道では、極限的なコストカットで線路保守のための資材も人もいない状態でした。たとえ、レール検査で異常を発見してもまともな補修もでできない状態が続いていたのです。
 その中で、検査数値の改ざんが行われるようになっていったのです。少なくとも44部暑中33部署で行われていたことが明らかになりました。完全に組織的に行われていたのです。

責任はすべて現場に

 やらせていた幹部も、現場の労働者も、いずれ事故に繋がることはわかっていたはずです。 しかし、現実に事故が起こったとき、責任を取らされたのは現場労働者でした。
 これほど大規模な改ざんにもかかわらず、社長や会長をはじめとした役員は、役員報酬を減額しただけです。その一方、入社したばかりの23歳の労働者と、あと1年で退職の現場労働者だけが懲戒解雇されています。

民営化・外注化が安全を破壊

 ここまで安全が崩壊した根本的な原因は、民営化と外注化にあります。 国有鉄道から分割・民営化されて発足したJR北海道は、その当時から経営が成り立たないとはっきりわかっていました。
 その中で、人員削減とメンテナンスコスト削減が進められていったのです。外注化はその手段でもありました。
 ある子会社では、「鉄道車両の整備・修理」業務が時給750円のパートで募集されていました。低賃金でコストを削減する一方、ベテランも大量に退職して技術も継承されなくなったのです。安全崩壊の責任は民営化した政府、極限的な外注化を進めたJR北海道自身にこそあります。


12年間にわたり外注化を阻止した

 動労千葉は、JRによる外注化提案以降、一貫して外注化に反対して闘ってきました。その闘いは、大きな成果をうみました。千葉支社の検修・構内職場では、12年間にわたり外注化を阻止し続けてきたのです。
 外注化を認めない限り、動労千葉の組合員だけは再雇用先を拒否するという攻撃もありました。しかし、それも5年間で粉砕し、外注化に反対しながら再雇用を認めさせました。

JR全体の外注化に歯止め

 2012年10 月、JRはついに千葉でも外注化を強行しました。しかし、我々の闘いは外注化を10年以上遅らせ、今も大きな歯止めをかけています。それによって、JR東日本全体の外注化も、自由には進められなくなったのです。
 新津車両製作所の分社化など、JRの外注化は新たな段階に入ろうとしています。千葉―東京間でも、駅業務の丸ごと外注化が初めて強行されました。
 外注化は、働く者の雇用や安全を瞬く間に破壊していきます。本当に今こそ外注化に反対しなくてはなりません。

ともに声を上げよう 

 まともな教育もないまま仕業検査を強制することをやめさせる。そのためには、CTSプロパー採用の仲間自身が、「こんなことはできません」と声を上げることが最大の力です。そして、彼らを絶対に犠牲にさせないためにも、JRの仲間がともにたち上がることです。
 そうしてJ R―C T S 双方で反撃すれば、この問題は必ず解決できます。同時に、外注化自身をうち破ることもできます。本当にみんなの力が必要なのです。
 動労千葉は外注化をうち破るまで闘いぬきます。動労千葉に結集しともに闘おう。

すべての仲間はともに声を上げよう


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