DC通信No.63 05/01/01
05動労千葉新聞
新春インタビュー

DC通信目次 

動労千葉新聞34号(05.1.1)  

   新春インタビュー     
   執行委員長 田中 康宏

戦争と民営化の大攻撃と対決し労働運動の再生・組織拡大を!

JR体制に風穴をあける

団結祭りで1047名争議団・闘争団が登壇
発言する動労千葉争議団の中村さん

 昨年は、大きな可能性を開く二つの成果を実現した年でした。
 ひとつは、ついにJR体制の厚い壁に風穴をあけたことです。まだ蟻の一穴ですが、いつか絶対に堤防決壊させるぞとファイトを燃やせるような一歩を築くことができました。この闘いを通して改めて確信したのは、労働運動の原則を貫くことの大切さです。この成果は、シニア制度に断固たち向かうという決断から始まった4年ごしの闘いによって実現できました。この間は、第二の分割・民営化攻撃ー業務外注化阻止を掲げて幾度ものストに起ちあがり、現場では幕張を先頭として職場抵抗闘争が日々続けられる中で、構内・検修業務の外注化を阻止するという画期的な成果を生みだしました。その過程では、動労千葉の組合員というだけで再雇用を拒否されるわけですから、組織的には本当に困難な問題が突きつけられました。でも、外注化を呑んで再雇用をお願いするような道を選んだら、労働組合なんて結局は会社の手のひらの上に乗ってるだけの惨めな存在になってしまう。
 それと、2月からの50日間闘争にしても、初めて無期限闘争を構えたわけですが、会社は動労千葉があそこまでやるとは思っていなかった。動労千葉の迫力・団結力が当局を圧倒したということです。

展望を示した11月集会

3600名の労働者が結集した11・7労働者集会

 もうひとつの成果は、11・7労働者集会の成功です。全ての参加者が、この先に労働運動再生への展望や可能性を感じてくれたのではないかと思っています。
 労働者、労働組合は本来大きな可能性をもつ存在です。しかしその何倍もの困難が待ち受けているのも事実です。こうした中で多くがその困難さに負け、言い訳ばかりして目の前にある可能性を自分の手で潰しているのが現状です。動労千葉は、国鉄分割・民営化に対する二波のストライキをはじめ、労働者が団結すれば、どんなに困難に直面しても絶対に負けることはないと信じて原則を貫いて闘ってきました。ILWUローカル10がわずか1200名でミリオン・ ワーカー・ マーチを全米に呼びかけるという途方もない挑戦を決断したのも全く同じ精神です。韓国の民主労総も、非合法下の激しい弾圧のなかで闘いを開始し、70万人のナショナルセンターを築きあげたわけで全く同じです。この三国の闘いが本当に固い団結で結ばれた。動労千葉の闘いが世界に注目されたのです。日本の労働運動にも大変なインパクトを与えることは間違いない。われわれはあたり前のことをやってきたという感覚ですが、もっと誇りをもっていい。こんな可能性を秘めた集会は600万の連合にも、140万の全労連にもできない。その意味では今後の土台を築く画期的な集会でした。

飛躍が問われている

 昨年の闘いを総括するときに、もう一点忘れてはならないことは、中村書記長の急逝という悲しみと困難をのりこえて進んできたことです。10月の大会では長田新書記長を選出して、立派に後を継いでくれています。しかしそれで安心してはいけないと感じています。今動労千葉には、本当に大きな飛躍が求められています。昨年の闘いを通して、動労千葉の存在があらゆる意味で台風の目になったわけで、すでに戦争が始まっているという情勢を考えても、支配階級の側は、動労千葉は絶対に潰したいと考えています。一寸も気をぬくことはできない状況です。
 われわれが最大の課題としている組織拡大も、この1年で大きな土台を築いたとはいえ、これからの課題として残されています。気を引き締め、団結強化へ、私自身も委員長としてもっと飛躍しなければならないと痛感しています。
 戦後60年にあたる05年は、まさに正念場。大変な年になろうとしています。

ブッシュ再選後の世界

 05春闘に向けた闘争体制を確立することが当面する最大の課題ですが、これまでとは一線を画する情勢下での春闘になります。第二期ブッシュ政権は戦争という現実、帝国主義の危機があまりにも深まっていることそのものが生み出した政権です。アメリカでは「米国経済が大破局を避けられる可能性はもはや10%以下だ」と報じています。平時的なあり方では国家統治が不可能になっている支配の危機、そこから噴き出した反動こそがブッシュを勝たせた力です。アメリカはイラクで激しい抵抗にあって、完全に泥沼にはまり込んでいます。しかしそうであればあるほどさらに絶望的に戦争にのめり込むしか道が残されていません。
 今、世界は真っ二つに分裂し、帝国主義同士が激しく利害を衝突させる恐るべき時代が到来しています。かつてと全く同じように全世界がブロック化し、衝突しようとしています。こういう情勢のなかでの春闘になるということです。

改憲と大民営化攻撃

04春闘−50日間闘争を3波のストで闘いぬく

 また05春闘は、教育基本法ー憲法改悪に向けた攻撃が具体的に開始される情勢下での春闘になります。小泉政権は、有事立法を制定し、イラク自衛隊派兵の延長を強行し、北朝鮮への経済制裁を煽りたて、防衛計画大綱を日本版先制攻撃戦略というべきものに変え、トランスフォーメーションによる日米安保と在日米軍基地の飛躍的強化など、戦争への歯止めが完全に外れようとしています。しかも国会は翼賛状況で何でもあり。この通常国会には教育基本法改悪案が上程され、憲法9条に手がかかろうとしています。深刻な歴史の岐路です。まさに労働運動の真価が問われる正念場に私たちはたっています。
 そして、小泉骨太方針による大民営化ー非正規雇用化攻撃にいかに反撃するのかという春闘になります。これは権力機構のなかに労働組合の存在など認めないという攻撃であり、奥田の「9割の非正規雇用化」方針を貫徹しようとする攻撃です。大増税や社会保障制度の解体攻撃と一体で、弱肉強食の論理を社会の隅々まで貫徹し、多くの労働者が食っていくこともできないような時代が始まろうとしています。

反合・運転保安闘争強化

1月6日、総武快速線下り、津田沼〜幕張間でのレール折損箇所。2センチもの隙間ができている。

 JRをめぐっても、安全問題、革マル問題、要員問題という三つの矛盾が、いよいよ爆発的に噴き出す過程となります。
 昨年の大会で「反合・運転保安闘争の強化・再構築」という方針をだしましたが、まさに急務です。05春闘は、昨年と同様に反合・運転保安春闘と位置づけ、ストを配置して組織の総力をあげて闘わなければならないと判断しています。安全の崩壊や職場規律攻撃の現実、とくに昨年10月ダイ改以降の限度をこえた労働強化や業務遂行能力の崩壊としかいいようのない現実に対し、断固闘わなければなりません。
 貨物では賃金制度改悪攻撃が画策されており、また高齢者雇用安定法の改訂にともなってシニア制度粉砕ー定年延長の闘いも05春闘の大きな焦点になります。さらに強制配転粉砕闘争の第二ステップという位置付けをもって春闘に臨みたいし、何よりもこうした課題と組織拡大闘争をいかに結合できるかが勝負です。

05春闘の攻防の焦点

東京地裁に提訴の後、厚生労働省記者クラブで記者会見を行い高石正博さん、中村俊六郎さん

 その上で三つの攻防の焦点があります。
 ひとつは「日の丸・君が代」闘争、二つ目は、1047名闘争、そして三つ目は3・20のイラク開戦2周年の闘いです。
 昨年、石原の悪辣な攻撃に対して開始された「日の丸・君が代」不起立の闘いは、画期的な地平をきり開きました。組合本部の屈服に抗して闘われた300名余りの教育労働者の決起が、労働運動全体を揺るがして、教基法ー憲法改悪阻止に向けた闘いの拠点として登場したのです。3月の卒業式で、闘いを大きく拡げることができるか否かが勝負です。これは労働者の未来のかかった闘いだと位置づける必要があります。
 また1047名闘争も正念場です。国労本部や革同・共産党は、明らかに闘争に終止符を打とうとハラを固めています。昨年の12・1集会をめぐって起きたことは、1047名の団結を破壊しようという、共産党による反動でした。ここでも動労千葉の存在が焦点になっています。われわれも昨年12月24日、旧国鉄を相手どって新たな訴訟を提起しましたが、これを軸に1047名の団結を実現し、一から闘いをつくりあげる決意で、全国的な闘争を再構築できるか否かが勝負です。郵政民営化や公務員制度改革攻撃が開始されているなかで、1047名闘争のもつ位置はこれまで以上に大きくなっていることを徹底的に自覚する必要があります。

組織拡大に全組合員の力を

 そして「3・20」です。昨年実現した画期的な統一集会をさらに発展させ、階級的力関係を変革するような闘いとして、これを実現するということです。「 3・20」 の闘いは全世界での国際統一闘争になります。MWMもニューヨークでの大統一行動を呼びかけています。
 職場からの闘いとこうした課題をガッチリ結合させ、何としても情勢をわれわれの側に引き寄せるのが05春闘の課題です。
 そして何よりも最大の課題は、組織拡大闘争です。JR総連はみにくい内部抗争でもはや組織の体をなしていない状況です。JRにおける労働戦線の大再編が始まっています。動労千葉は、どこにでても恥ずかしくない闘いを実現しているわけで、全組合員が本気になれば組織拡大は絶対に可能だと確信をもっています。
 われわれは11・7集会のような、日本の労働運動に大きな衝撃を与えるような国際連帯闘争を実現しているわけで、これと組織拡大が結びついたときに、動労千葉は、本当に戦後の日本の労働運動の歴史をぬり変えるような力をもつと私は確信しています。
 一方で、この数年のうちに百名からの組合員が退職を迎えるという組織的現実を危機感をもって見すえてほしい。動労千葉のすばらしい団結と闘いを本物にできるか、今が正念場だということです。確かに困難な課題ですが、困難なときこそ、その底力を発揮してきた動労千葉の伝統に確信をもって、全力で組織拡大の闘いに挑む決意です。そして、今年の11月集会を、文字通り日本労働運動の歴史を塗りかえるような集会として実現させる。そのために全力を尽くして闘いぬく決意です。


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