国鉄闘争全国運動緊急の呼びかけ人会議 (会報63号)

8・23総決起集会へ
闘いはこれからだ!全国で網の目のような国鉄集会を開催し、11・1へ大結集を!
国鉄1047名解雇撤回の最高裁の上告棄却決定を受け、緊急の呼びかけ人会議を行いました。呼びかけ人の発言を紹介します。(文責は事務局)
解雇撤回へ闘い続ける
田中康宏(動労千葉委員長)
最高裁上告棄却という闘いの節目を迎え、ここまで闘いをご支援していただいたことに心からお礼を申し上げます。
6月30日の上告棄却は、7月15、16日の戦争法案の衆院強行採決と表裏一体だと思います。戦後70年の労働運動の歴史で、時間的に考えてもそのほぼ半分が国鉄闘争に規定された歴史でした。そういう点から言うと、今回の決定は、国鉄闘争に最終的に終止符を打ちたいという国家権力の意思が明確に働いていると思えてなりません。
そう考えると、この5年間の全国運動の地平は、戦後最大の労働運動解体攻撃を少なくとも貫徹させないで、陣地を守って最後の所で反撃の拠点を作ったところにあると思います。
もう一つは、国鉄改革法という問題と民営化、外注化、非正規化に対して労働者が闘えることを示してきた。
この二つが、国鉄闘争が切り開いてきた地平だと言っていいのではないかと思っています。
その上で最高裁に国鉄分割・民営化の採用差別が明確な不当労働行為だったことを確定させたことは本当に大きい。これを新しい出発点にしてすべての労働者の失われた権利と団結を回復する闘いがこれから始まると考えています。
第二の分割・民営化との闘い
これからの闘いの基本的な方向性は、一つには、不当労働行為をここまで明確に認定しておきながら解雇を撤回しないことは、解雇金銭解決の先鞭をつけたような意味がある。やはり解雇撤回の旗を掲げて闘い続けなければいけない。
二つ目には、戦争法案・改憲との対決です。国鉄闘争はこの時のために闘ってきたわけですから、戦争との闘いの先頭にもう一度国鉄闘争が立つことが絶対に必要と思います。
三つ目は、総評解散に次ぐ労働運動の再編との闘いです。連合ですら支配階級の側から見たら中途半端で、明確な改憲勢力にもう一回労働運動をひっくり返そうとしている。その先兵にUAゼンセンを押し立て、安倍と極秘会談までやっている。これも国鉄分割・民営化の問題として闘わなければならない。
四つ目に、職場における「第二の分割・民営化攻撃」との対決です。運転士も車掌も鉄道業務はすべて別会社に移してしまう攻撃で、それがグループ企業の大再編という形で始まっています。下請け会社の中では、千葉でも何百人規模での転籍が始まっています。これは、安倍政権が進めている社会丸ごと民営化と一つです。
これからの課題ですが、一番目は解雇撤回闘争を具体的にどう継続するかです。直接的には今度はJRに対して「解雇を撤回せよ」と要求する闘いを継続することになる。
二番目は、国鉄分割・民営化の最大の狙いでもある外注化・非正規職化粉砕闘争を全力で闘うことです。JR本体の労働者が10年、15年にわたって、外注化・非正規化させない闘いを非妥協的に展開した例はこれまでなかったと思います。
こういう闘いの前提の上に初めて正規と非正規の団結が言えると思っています。強制出向裁判も、これまで前例がない裁判になりますから闘いの重要な結集軸として考えています。
三番目は、動労水戸が切り開いてきた被曝労働拒否闘争です。復興の名のもとに地方を全面的に切り捨て、福島を見殺しにし、復興の名のもとに原発再稼働の政策を進め、労働者を被曝させていく、これに対して動労水戸がストライキで声を上げている意味は本当に大きい。これは第二の分割・民営化反対闘争の重要な柱と位置づけて具体的に闘いを進めていきたいと思います。
それと、社会の崩壊に対する地域の闘いの組織化です。いま始まっている地方の、人が生きていくことができない現実に対して、労働組合が何ができるのかという新しい挑戦です。
動労総連合を全国につくる
さらに、動労総連合を全国に作り出す闘いです。国労は実際上、死に体だけど一方では第二の分割・民営化が起きている状況の中で、僕らはどんなに小さくても一つの挑戦として、全国に動労総連合をつくる闘いに踏み出しています。
国際連帯闘争では、6月7日に「民営化と闘う日韓鉄道労働者共同声明」を動労千葉と韓国の鉄道労組ソウル地方本部との連名で出したことは大きいと思っています。これは形式だけでは終わらない。
当面、何より、8~9月、戦争法案の参院審議をめぐって、必要ならばストライキも配置して、国会前に乗り込んで闘いたいと思います。
そして8月23日に上告棄却を弾劾する報告決起集会を東京・星陵会館で開催します。国鉄闘争の新しい出発点の宣言の場にしたい。
動労水戸の仲間たちは、8月29日に常磐線全線開通に対する抗議集会をいわきで開催します。さらに9月、10月、全国各地での国鉄集会を成功させて、11月1日の労働者集会をかちとりたいと思います。
職場をめぐっては、10月1日、検修・構内外注化で強制出向に出されて期限の3年を迎えます。これを一つのきっかけに外注化粉砕闘争をもっと強化していきたい。
さらに千葉では11月1日に、千葉運転区が廃止され移転して千葉運輸区となる。これも組織破壊攻撃として仕組まれている。これもストを構えて闘いぬいていきたい。
そして何よりも、この過程で組織拡大に全力を挙げて挑戦し、全国運動のもっと大きな発展をつくり出していきたいと思っています。

出向無効確認訴訟へ結集を(9月11日11時〜東京地裁527号法廷)
手掛かりできた
葉山岳夫(弁護士)
今回は単純な形での上告棄却決定ではないという思いを強くしています。署名が10万筆を超し、それを8回、最高裁に提出することを繰り返した。全国的な運動も交えて粘り強い闘争を行ってきた。そういう中でこの上告棄却が出た。
白石判決は、分割・民営化に反対する労働組合に所属する組合員を差別する目的を持って採用名簿を作成した不当労働行為であり、この不当労働行為がなければJRに採用された、採用されたものとして3年間の損害賠償請求を認めました。
高裁の難波判決も同じく、名簿記載行為が分割・民営化に反対する動労千葉組合員を不当に差別する目的を持ってなした不当労働行為であることについて、一審を維持してそのまま認めた状況です。
その上で、必ずしもJRに採用されるものとは限らないが、しかしJRに採用される可能性も相当程度あったと矛盾に満ちたことを言っていました。損害賠償も、そのような期待権を侵害したという意味で、慰謝料的な意味で損害賠償的な位置づけを行ったわけです。
この間の審理の中で明確になった事実もあります。
井手正敬が連合の会長と軽井沢で会談した時の議事録を発見しました。その議事録の中で、おそらく1987年2月2日と思いますが、葛西敬之と井手が、設立委員会の委員長、当時は経団連の会長だった斎藤英四郎に出かけていきまして、改革労協の圧力に対応する上で、何とか組合活動家を不採用にしたい、その選考基準を何とかできないものかと、斎藤英四郎と会談した。結果、この採用基準が策定された事実が出てきました。
それから国鉄改革法自体、葛西敬之と、最高裁調査官から職員局に出向になった江見弘武との合作による非常に荒っぽい憲法28条違反だということも強力に主張しました。
最高裁も単に機械的に、棄却決定を行ったんじゃなくて、内部的な議論が相当行われたんじゃなかろうかと推測されるわけです。反動的な決定でありますが、解雇撤回・原職復帰の運動上の手がかりをつかむことはできたと言えるのではないかと思います。
第2の分割・民営化の問題と解雇撤回の運動をどういうふうにつなげていくこができるかも今後の一つの大きな課題であります。
出向裁判の意義
鈴木達夫(弁護士)
強制出向の問題は、非正規問題です。出向から3年でJRに戻すのか? 裁判所もどうするんだという問題意識を強烈に持ちながら10・1を迎えようとしている。敵は強制出向を何で押し切ろうとしたかというと、「不利益はない」ということなんですね。しかし、59名の現場労働者が原告になっていることが、この問題をひっくり返していく最大のてこになっている。
これは偽装請負問題と絡む。ひとことで言えば安全問題です。労働が寸断されてあちこちで事故が続出している。そういう「不利益」の問題が現場から次々暴かれている。
私は、第二の分割・民営化攻撃の中心である非正規問題、この最大の問題が安全問題としてあると思います。これを全社会的な問題にして怒りの先頭に立っていく。これが新自由主義の破綻の中での闘いとして大きく浮かび上がってきている。
さらに、国鉄闘争全国運動が組織的な闘いの一つの基盤になって動労総連合が全国的に結成されようとしています。
その場合に、ただちに問題になるのは動労神奈川にように非正規問題だし、でたらめな首切り問題だし、安全の問題なんです。その点では、動労千葉、動労水戸、動労高崎の59名が闘っている出向無効確認訴訟が、第二の分割・民営化の核心をつく闘いになろうとしているのではないかと思います。

普遍性もった闘い
森川文人(弁護士)
鉄道というのは一体的な業務だからJRは口を挟まざるを得ないという形で偽装請負という形が矛盾的に生まれてくる。そこがこの強制出向無効確認訴訟を始めてよく分かった。
指示がバラバラにいくわけにはいかない。だけど現場では「ここからは千葉鉄道サービスの仕事」と形式的に貫こうとする。そこで安全面で問題が生じている。第二の分割・民営化との闘いは、そういう普遍性をもった労働者全体に対する攻撃との闘いであることを暴露していくことが大きな課題になっている。

闘い維持に確信
長谷武志(全金本山労組)
「不当労働行為はやり得」と昔から言われていたわけです。無茶苦茶なことをやっても当該の組合員がつぶれちゃえば会社の勝ちなんだと。でもつぶれなかったら逆のものに転化する。
「金銭和解」を権力として社会に全体化することを絶対に許してはいけない。
ただ、不当労働行為をやっても労働者が絶対反対でがんばることによって闘いは維持できる、ひっくり返すことは可能だと思ったのがこの判決を見て感じたことです。
だから不当労働行為を国鉄の職場で認めさせたことを武器にして職場の労働者とつながることは可能なんだ、私もがんばっていきたいと思いました。

JR攻める闘いに
石井真一(動労水戸委員長)
解雇撤回の闘いをどう貫いていくのかが重要だと思います。JR設立委員会の委員長の斎藤英四郎もかんで不当労働行為をやったわけだから、JRそのものが不当労働行為をやったことは争えると思う。それをJRに突きつけたい。
中村仁さんなんかまだ運転士として働けるんだから「謝罪してJRに採用しろ」と東日本の富田社長に申し入れて解雇撤回を貫いていかないと。
実際に「不当労働行為があって、相当程度採用された可能性がある」と言っているし、実際名簿に載れば採用されたはずなんだから、自分としては納得できないというか、悔しいというところがあります。

資本・国家への闘い

鎌倉孝夫(経済学者)
私は動労千葉の運動は、例えば裁判闘争は、国家を直接相手にしていて、しかも権力の側が不当労働行為を認めざるを得ないところまで追い込んでいるのはすごいと思う。
国家が人間や自然を壊すところまできている。その上、戦争を引き起こす。危機をてこにして国民を強制的に動員する、これが今の姿です。
体制を動かしている資本と、その上に立っている国家、これを粉砕するしかない。そういう時点にあるんじゃないかと思います。それに対する闘いを一歩一歩どうつくり上げていくかということなんじゃないか。

今後の闘いの糧に
花輪不二男(世田谷地区労働組合協議会顧問) 
闘いを続ける。闘いの共感を広げ、労働者の戦列を新たに作り直していく。結論的にはそういうことになるのではないか。
たたかれてもたたかれても立ち上がる労働組合、労働者が広がりを見せていけば、世の中は変えられる。口ではやさしいんですが、これは大変なことです。
非正規、民営化を権力が総力を挙げてやっている中で、われわれもそれを全面的にとらえて闘いを組んでいかないとだめだ。非正規で働いている労働者のところにどこへでも飛び込んで行って援助していく。
少しでも経験が役立つのであれば、それを闘いの糧にしてやっていかなければならないんじゃないか。そんなふうに思います。

パンフレットを
金元重(韓国労働運動史研究家)
もう一度、分割・民営化反対闘争として動労千葉がやってきた闘いについて、「私たちはここまでやってきたんだ、しかしこれで終わったわけではないんだ」という闘いの総括と今後の課題を呼びかけるパンフレットを出せればなと思います。
国鉄闘争全国運動の拡大にもつなげられるようなパンフレットです。それが動労総連合の拡大という方向でも、非正規で闘っている人たちに結集軸を示すという点でも役に立つかも知れない。
それと、解雇撤回闘争をいかに継続するかについて言うと、今の時点で解雇撤回闘争を続けることは国労の人たちへの働きかけもあるかと思います。

主流への跳躍
入江史郎(スタンダード・ヴァキューム石油自主労 働組合委員長)
今回の最高裁の判決は、私としてはいい勝ち方だと思います。
われわれもこれからが問われる。運動上の手がかりをつかんだと言われましたが、まさにその通りです。
署名運動というのはだんだん先細りするんですが、今回は最高裁に向けて逆に署名が増えた。そこには何かがあるのだと思います。
不当労働行為と言うんだったら原状回復です。解雇撤回を改めてJR東日本に突きつけて、そこから動労千葉の決起、全国の国鉄集会を闘う。不当労働行為の確定は、私たちが主流に跳躍していくことが根本的には求められていると思います。
議論の組織化を
伊藤晃(日本近代史研究者)
「JRの職場でいま起こっていることは、自分たちの職場ではいったい何に当たるのか」という議論をあちこちの現場でやっていく必要があると思う。
秋に各地で集会があります。それぞれ呼びかけ人の方々がいくと思うんですが、ちょっとばかり予習をして、その地域で起きているいろんな争議なり、いろんな問題を、「今のJRの闘争をどう結びつけるのか」「今の局面をどう発展させるのか」という議論を行う必要があるのではないだろうかと思います。
ですから、秋の各地の集会の目標は、この裁判の局面ははっきりしてきたわけで、そこのところを目的意識的にしていく努力をしたらいいのではないかと感じました。
とりあえず8月23日の集会を広く呼びかけて、少しでも成果があればいいわけだから広く呼びかけてやってみたらという感じがします。

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