11,4国際連帯集会発言

労働者国際連帯で戦争に反対し、平和を根付かせましょう

全国鉄道労働組合パクソンスソウル地方本部長

改憲に反対し、日本社会の民主主義のために闘う日本の労働者同志の皆さん、そして戦争に反対し、地球に平和をもたらすためにこの場に集まられた参加者の皆さんにごあいさつ申し上げます。韓国・ソウルから来た全国鉄道労働組合ソウル地方本部本部長パクソンスです。トゥジェン(闘争)!

韓国では昨年冬、労働者と市民の力で独裁者を追い出しました。鉄道労組は、パククネ政権の年俸制改悪に対して74日間のストライキを行いました。鉄道労働者は民主労総の労働者と連帯して闘いました。年俸制を強要し、サード配備を強行するなど、反民衆、反労働者的なパククネ政権を追い出すために、ストライキの期間ずっとロウソク集会に参加しました。その結果パククネ政権は弾劾され、パククネとその追従者が続々と監獄に送り込まれました。このように労働者の組織された闘いは市民社会を揺さぶり国全体を揺さぶって、情勢を変化させることができます。

同志の皆さん、韓国ではパククネ政権が弾劾されて「共に民主党」が権力をとり、しばし労使間の平和が維持されています。韓国の鉄道でも年俸制が撤回され、(韓国鉄道の子会社によって運営されてきた)水西(スソ)発の高速鉄道が再び(韓国鉄道に)統合される機運があるなど、長い間の闘争の成果が表れています。これはすべての労働者の闘い、そしてこれに触発された市民の闘いの結果です。

しかし残念なことに、北朝鮮の核兵器開発による南北間の緊張と国際情勢の変化が、韓国社会の真の民主的進展を妨げています。韓国では自由主義的政権が権力を握りましたが、米国と日本では極右勢力が力を増しています。トランプは北朝鮮の核実験を契機として米国の覇権を強化しようと狙っているのです。中国は米国の試みに対して、武器開発に熱を上げています。日本は北朝鮮の核を口実に「戦争のできる国」へと進むために改憲を狙っています。こうした中で韓国は北朝鮮核問題の当事国にもかかわらずきちんと発言することができず、サード配備を強行するなど米国に引きずられています。

同志の皆さん、韓国はすでに67年前に戦争を体験しました。日本も72年前に終戦を迎えました。労働者民衆にとって戦争がどんなものかは、語らずともおわかりでしょう。労働者民衆の子供たちは戦場に動員されて命を落とし、残った者は破壊と貧困、飢えと病気で死んでいきます。戦争によって民主主義が後退し、人権蹂躙とさまざまな悪法が横行することになります。私たちの両親の世代は直接戦争の被害を体験し、私たちの世代は戦争に続く飢えの中で米国の救援物資に頼って生きてきた記憶がまだ生々しいのです。だからこそ戦争に反対し、平和を根付かせるために、韓国の労働者民衆と日本の労働者民衆だけでなく、全世界の労働者民衆がともに行動し、実践する闘いを展開しなければならないと思います。

同志の皆さん、戦争と同じくらい危険なのが原発です。日本はすでに福島第一原発事故で数多くの犠牲者を出し、韓国や中国などアジア各国に数多くの原発が散在しています。韓国では最近、南部地域での新たな原発建設を中断するのか継続するのかをめぐって激論が展開されました。結果は残念なことに、工事を継続するということになりました。しかし、どんな闘争にも無意味なものはなく、闘いを通じて原発の中断と廃止に進むと考えます。

同志の皆さん、米国のトランプが日本を訪問します。日本に続き韓国も訪問する予定です。トランプは資本の利益のためには戦争も辞さない人物です。最低限の体面も恥もわきまえず、それこそ資本の論理で武装した人物です。しかし、平和を愛する全世界の労働者民衆の闘いが激しく巻き起こるならば、いくらトランプでもむやみに戦争することはできないでしょう。

同志の皆さん、私たち韓国の鉄道労働者も、戦争反対、北朝鮮の核開発および韓国の核配備反対、サード配備反対など、平和のための闘いを懸命に進めていきます。私たち全員の力を合わせて地球上から戦争の脅威を消し去り、平和を根付かせるために力強く連帯して闘いましょう。この場に、各国の労働者とともに参加することができてうれしく思います。明日の集会までともに行動し、現場に戻って一生懸命闘い、一生懸命組織しましょう。トゥジェン(闘争)!!!

全国鉄道労働組合、8千ソウル地方本部組合員を代表して

パクソンス拝

ふくしま共同診療所 布施幸彦院長

全世界から11.4労働者国際連帯集会に参加された皆様、ご苦労様です。私は、ふくしま共同診療所院長の布施幸彦(ふせさちひこ)です。2011年3月11日に起こった福島第一原発事故の地、福島県で診療を行っています。

 最初に当院の設立経緯から述べます。
 原発事故後の福島県の医療界は「放射能の心配はいらない」という意見が大勢を占めていました。住民が放射能汚染による健康被害を心配し、医療機関にかかっても「放射能の心配はいらない」と診療を拒否されました。福島では放射能による健康被害を相談できる医療機関がなかったのです。そこで、放射能汚染による健康被害を心配する福島の住民と全国の医師有志で、「内部被曝・低線量被曝は危険である」という医療機関を創ろうと、全国・全世界に募金を呼びかけたところ、日本だけでなく、韓国、ドイツ、アメリカなど全世界からのご協力もいただき、2012年12月1日に開院することができました。だから、当診療所は、全世界の労働者の国際連帯の結晶です。最初に全世界の労働者の皆さんに感謝申し上げます。
 
 当院は、「避難・保養・医療」という原則を掲げて診療を行っています。
 福島は放射能汚染地域で全員が避難すべきです。だから第一には避難です。
 しかし福島から避難できない多くの人がいます。その人たちは、放射能の影響のない地域にたとえ数日間でも保養に行った方が、放射能による健康被害を少なく出来ます。だから第二には保養です。
 今でも多くの人々が放射能汚染地域で生きています。福島で生活せざるをえない住民の健康を守るために診療所は医療を提供します。だから3番目に医療です。

 次に今、福島で問題となっていることについて述べます。
 一番の問題は、小児甲状腺がんの多発です。
 現在、県の発表でも甲状腺がんないし疑いが194人、手術で154人ががんと確定しています。国連科学委員会(UNSCEAR)、福島県、日本政府は「放射能の影響は考えにくい」と言っています。しかし、小児甲状腺がんの発生率は100万人に1人から2人です。福島県では3000人に1人の割合で発生しています。チェルノブイリ原発事故と同じように放射能によるものとしか考えられません。
 二番目の問題は、復興という名の被曝強制と棄民政策です。
 国は、いつ再爆発を起こしてもおかしくない福島第一原発周辺の年間20ミリシーベルトに及ぶ放射能汚染地域に住民を帰しています。県外へ避難した人たちの住宅手当全額補助は今年3月に切られました。東京電力は来年3月には仮設の住民への精神的補償金をうち切ります。経済的困窮に追い込んで帰還させ、被曝させようとしています。これは国による「復興」「帰還」という名の棄民政策です。ふくしま共同診療所は、帰らない闘いをしている福島県民と共に闘っていきます。
 その他にも、小児甲状腺がんだけでなく、様々な健康被害が起こっていること、放射能汚染水を海洋投棄していること、原発労働者や多くの労働者が被曝労働を強制されていること、放射能汚染物質を「中間貯蔵施設」に永久保存しようとしていること、など多くの問題があります。

 開院後の5年間の診療所の活動を報告します。
 一つ目は、甲状腺エコー検査です。放射能による甲状腺がんが多発しているので、大人も含めて甲状腺エコー検査を延べ3,000人に行ってきました。
 二つ目は、避難された住民の健康を守る活動です。津波や放射能汚染のために仮設住宅に避難された住民を対象に、仮設住宅を訪問して健康相談を行ってきました。
 三つ目は、原発労働者や除染労働者の健康を守ることです。原発労働者が原発事故収束のために働いています。また県内の放射能汚染を除去する作業を行っている多くの労働者がいます。彼らの仕事は被曝労働ですが、彼らの働きなしには福島での住民の生活は考えられません。彼らの健康を守って行くことも大事な診療所の仕事です。
 四つ目は、全国で行っている講演会活動です。講演会活動は、全原発を廃炉にし、第二のフクシマを作らせないための重要な活動だと思っています。
 2015年からは、全世界で反核を闘っている医師たちとの連携も開始しました。日本での講演会には韓国の反核医師の会が参加し、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部から連帯のメッセージを頂きました。今年1月18日には韓国の国会議員会館で行われた反核韓日国際シンポジウムに招かれ私が講演してきました。
 五つ目は、県内外に住んでいる避難者への支援です。避難者を支援するために、福島県内だけでなく、全国で「被曝と帰還の強制反対署名」を行っています。今までに4万筆以上集めました。この署名運動は、福島からの反乱の狼煙(のろし)です。

 国はなぜ、「福島原発事故はなかった」ことにしようとしているのか。安倍政権は、戦争法、秘密保護法、共謀罪を制定し、国民の声を無視して衆議院解散総選挙を強行し、民進党を解体し、連合を崩壊させました。2020年には、東京オリンピックを成功させ、憲法改悪を行い、戦争が出来る軍事国家に日本を変えようとしています。現代の戦争は核戦争です。核兵器を持つには、原発が必要です。だから、国は「福島原発事故はなかった」ことにする攻撃を行っているのです。ふくしま共同診療所は、今後も被曝による健康被害を告発し、事故の収束はこれから何十年何百年とかかるんだ、全責任を国と東京電力は取れ、と声を上げて行きます。診療所の闘いだけでは安倍は倒せません。日本にも民主労総のような労働組合が必要です。11・5全国労働者総決起集会は、連合崩壊情勢のなかでの、闘う労働組合の本格的再生の出発点です。韓国でパククネを打倒した民主労総にならって、福島からの反乱で闘う労働組合を作り、東京オリンピックを粉砕し、憲法改悪・朝鮮戦争に向かう安倍を倒します。全世界の労働者の力で、地球から戦争と原発を無くしましょう。闘う労働組合の国際連帯の力で、私たち労働者の世界を作りましょう。

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