(資料)中村栄一書記長  動労千葉04春闘の報告 

04年4月5日 中村栄一書記長
     動労千葉04春闘の報告 
           支援する会・春闘スト報告集会にて

日頃の動労千葉に対する物心両面にわたるご支援ありがとうございます。われわれ動労千葉も04春闘決戦段階の闘いを貫徹しました。皆さんの応援、ス労自主の皆さん、支援する会、駆けつけてくれた皆さんの応援で、闘争を貫徹して新たな地平をかちとることができました。本当にありがとうございました。

●研修会で春闘方針を決定

われわれ動労千葉は、去年の11月集会の成功をふまえ、去年12月に習志野電車区の廃止、幕張の縮小攻撃に対して闘いを始めました。その中で、当局との確認事項をとりました。
年が明けて、1月25~26日に全支部活動者研修会を開きました。以下の方針が確認されました。
①「反合・運転保安春闘」として、3月13日のダイヤ「改正」時を山場に設定してストライキを配置。②04春闘の最大の攻防の焦点を3・20イラク開戦1周年の闘いに定める、階級的力関係を変える。 動労千葉の春闘ストライキは、3・20と一体のものとして、現在の情勢に対する大きなインパクトを持つ闘いとなるし。労働運動全体の大きな位置を持った闘いとなるだろうと確信する。
「内なる階級戦争」――奥田ビジョン、賃下げ、年金、団結破壊等と、「外への侵略戦争」――イラク派兵、戦争をする国へと転落、これを完全に一つのものとしてとらえ、これと真正面から動労千葉は闘う立場を確立することを確認しました。

●無期限闘争に突入

そして、12月闘争の確認事項により、運転士登用の問題等を当局と話し合うということでしたが、その段階で、幕張電車区木更津支区に1月22日に欠員が生じて、1月28日、2月2日と、当局と要員の補充についての交渉をしていました。その中で、2月2日に、千葉運転区支部の運転士で58歳の畑木さんに対して、木更津支区への配転の事前通知を発令するという事態が起こりました。われわれは、予科生の士職登用による木更津支区の欠員補充を求めていました。
予科生というのは、運転士の試験に受かりながら、もう十何年も塩漬けになっている動労千葉の組合員です。組合差別にあって、運転士の免許があるのに発令されないで、駅、売店、検修職場に飛ばされている組合員です。木更津支区は、内燃機関、ディーゼル車です。電車の運転士でも内燃機関の免許を持っていないと行けないという特殊な事情がありまして、要員はうちの組合員がほとんどなんです。それで畑木さんを配転すると。予科生の士職登用による欠員補充、運転士資格保有者の構内ハンドルへの登用、士職登用は4等級に発令しろということと、検修職を希望する強制配転者を検修職場に復帰させろ――こういうことを交渉している最中に、あと1年半で退職する畑木さんに配転の事前通知出してくるという状況が起こったのです。
この事態の持つ意味は、検修職場全体で、この3年間で約80名が退職を迎えるという大量退職と新規採用者の補充がないという中で、これは、幕張支部の山田支部長を先頭にメンテナンス第3期の検修外注化の問題に対して闘ってきた成果でもあるんですけど、この矛盾が大きく噴き出す過程に入ったということです。こうした事態にもかかわらず、このような発令があるということは、われわれ動労千葉に対する会社の構えは何一つ変わっていないということです。むしろ動労千葉破壊の意図はより強まっている。そして、今回の配転は、千葉支社が懸案要求などを解決する気がまったくないと表明したに等しい。要員上会社が困った場合には、強制配転してでも要員補充はする、ということです。
そういう中で、われわれ動労千葉としては、緊急執行委員会を開いて、前倒し的に04春闘に向けた闘争態勢を直ちにとることにしました。しかも、予科生の士職登用を拒否して、定年まで1年余りの者を強制配転するというあまりにも非常識かつ異常なやり方です。われわれ動労千葉組合員はこの間、何度も強制配転させれています。その間、当局との団体交渉の中でも、われわれが「どういう経緯で、どういう基準で配転しているのか」と言った時に、当局は明確に「55歳以上の人は配転させない」という回答を行ってきた。それにもかかわらず、あと1年半で退職する畑木さんの配転を強行する。こういう要員の補充の仕方を続けていれば、畑木さんが飛ばされても、また1年後には欠員が生ずる。将来展望など何ひとつ考えていない。われわれの要求など何一つ受け入れる余地がないということです。
この状況の中で、検修職場の要員の状況は逼迫している。幕張電車区の検修・構内外注化に対して、われわれはシニア制度粉砕の闘いを貫いてきました。
シニア制度というのは、外注合理化と、シニア(60歳以上)の定年後の働く場を求めるのを一緒にした提案です。シニア制度は、60歳以降の退職後も会社が関連会社等の雇用を面倒見るという形なんですけど、それと検修・構内外注化が一本になった提案がされたわけです。
これに対してわれわれは「そんなものは受け入れられない」ということで闘ってきました。そして、検修・構内外注化阻止の闘いを幕張支部を先頭に、この3年間闘い抜いてきました。そういう中で、千葉支社だけは外注化がなされていない。その仕事を外注化して、退職者を安い賃金で使うという攻撃ができない中で、要員を新たに入れていないので、これから要員に欠員が発生するという矛盾を暴き出したということです。ここを突いて闘うということです。
もう会社の構えはほころびを見せている。そして、検修職場の要員状況を見て分かるとおり、会社は二進も三進も行かない状況に直面している。われわれは、そういう判断のもとに、本部は2月4日に関係支部長列席のもとに緊急執行委員会を開催しまして、以上の認識をふまえて、闘争方針を決定しました。
要求としては、2月2日付の畑木さんに対する不当配転の撤回、運転士資格保有者の士職発令、および強制配転者の原職復帰、木更津支区および検修職場の要員展望の明確化、この3点を当局に突き付けて、長期非協力闘争に入りました。
定年退職直前の配転という2・2事前通知の不当性および全体への波及性、懸案要求の解決の拒否、不当な労務政策を継続すること、そして木更津の欠員を焦点とした大量退職時代に要員問題の矛盾が爆発的に噴き出す過程が始まっている。この状況で、われわれは腹を据えて組織拡大を実現する。そして、長期非協力闘争に入りました。畑木さんの指名ストと非協力闘争という形で闘争に入りました。

●非協力闘争とは

非協力闘争というのは、本線運転士の場合は所定以外の業務をやらない、日勤職場の場合は超勤をやらないということです。運転職場の所定以外の業務を乗らないということは、運転士は行路が決まっていて、今日は例えば東京行き1Mで行き、帰りは2Mで帰ってきますという形になっていて、乗る列車が決まっているわけす。それ以外は一切乗らないということ。
東京に行って仮にダイヤが乱れた時に、違う電車に乗ってくれと言われれば、われわれはハンドルを置いちゃうわけです。そうすると、「山猫スト」的な形が発生するということです。今の当局の運用能力だと、ダイヤ混乱があった時に、代替を用意するような能力はないような状況です。この闘いは処分も伴う。当局は、千葉支社は動労千葉の闘争の仕方を理解していても、本社は理解していないわけです。われわれとしては、長期非協力闘争で、完全に和解しない闘いに突入しました。
まず畑木さん1名が指名ストに入りました。それと、ATS―P型の訓練も一切拒否するということを突き付けて闘争に入りました。ATS―Pというのは保安装置です。総武快速線の錦糸町から東京駅の間の地下ルートは、今まではATCという車内信号で、レールに信号が流れていて、それを拾って信号が出る形になっていたんです。東京の地下は今まで信号がないんです。それはトンネル内で特殊な地形だということで、一番安全な保安装置がATCという形で、車内のメーターのところに信号が出る。新幹線もそうですけど、やっぱりコストもかかるわけです。それが合理化されて、この3月1日から、ATS―P型に切り替えて、地上と同じように信号をつける。今まで信号のなかったところに信号をつけるわけですから、訓練をやらなければいけない。この訓練が2月から始まっていましたが、その訓練も一切拒否する。
われわれ動労千葉の組合員がこの訓練を拒否するということは、2月29日の切り替え時には、動労千葉の組合員は錦糸町から先には入れないわけです。これはストじゃないんですけど、実際に訓練を拒否しちゃうと、われわれは乗らないと言っているわけじゃないけど、訓練をやっていないから乗れないという形になるわけです。そういう問題も突き付けて闘争に入りました。
その中で、予備勤務者と言いまして、休みや欠員が出て乱れた時に乗るために、予備のA、B、C、Dと4種類あるんですけど、待機しているわけです。それで穴が開いた時にその人間が乗る。病欠とかで休んだ人が出たら、そのところに乗るような形で待機の業務があるんです。その業務をしている人に対して業務指示を出して、業務指示でこの訓練を行えと言ってきました。予備の勤務は乗務に穴が開いた時に乗るために待機している勤務であって、講習をその中で受けるというのは、所定以外の勤務だとして受け入れることはできないということで指名ストに入りました。
そして、千葉運転区で3名に年休の抑制、取り消しを行ってきました。当局は年休の抑制をした時には元の勤務に戻すんですけど、そうすれば、われわれは元の勤務に乗るわけです。それは所定の勤務だから。ところが、年休抑制をしたところに違う勤務をはめるようなことがありまして、それも指名ストに入れました。
結果的には、畑木さんの1名の長期の指名ストと、24名の指名ストに立ち上がりました。

● 「闘争収拾案」

千葉支社当局は、当初は頑なな態度だったんですけど、2月19日に「闘争収拾案」を出してきました。画期的という言い方をしましたが、何が一番違ったのかと言ったら、JRに移行する中で、ストライキ等闘争を構えた時に、動労千葉とは水面下の交渉すらやらない。最初の団体交渉1回きりで、「やるならやれ」とスト破りは動員する。一つの交渉の場を持たなかった。しかし今度は、向こうから交渉を求めてきて、その中で最終的に、動労千葉の要求した3点に対して、前進が見られた。そういう地平をかちとりました。
畑木さんの不当配転については、出した発令は即撤回とはならないが、要員の補充ができ次第、秋には千葉運転区に帰す。荒井君という士職登用で差別されている予科生の組合員に対しても、早急に運転適性検査を受けて士職に登用し木更津支区で運転させる。
そして運転士資格保有者で、士職というのは1等職、2等職、4等職、5等職と分かれているんですけど、動労千葉の組合員には4等職がまだ発令されない。1等職、2等職、今の平成採の人間でも何年か経てばすぐ4等職になるんですけど、動労千葉の仲間は、そのような不当な扱いを受けている。このことに対しては、じゃあ試験を受けさせろと言ったって、当局は、ここは譲らない部分でした。
しかし、強制配転者で検修職場を希望する者に対して7月の時点で、今年の新規採用者が駅で一人前になった時に、順次配転させるという確認をとりました。検修職場に対しては、希望する者をこれから随時配転していく。 動労千葉の要求が、満額回答ですべて通ったわけじゃないですが、その他懸案要求に対しては、これからも協議していくという一定の確認がとれたということで、第1波のストはいったん集約することにしたのです。
やはり、この闘争が勝利したのは、2月10日から非協力闘争に入り25日までの16日間の闘いを、動労千葉の組合員は一糸乱れずに貫徹したからです。徹底した非協力闘争、畑木さんの指名スト、24名の指名ストが切り開いた地平です。この地平を確固たるものにするために、続いて第2波の闘いに進んでいくことを確認しました。
いまだ一歩を踏み出したにすぎないとはいえ、今回の非協力闘争は、結託体制のもとで17年間一切の要求を拒否されてきた現実を、初めて揺るがしたということです。
今、労働者はどんな状況に置かれているのか。現在の労働運動やJRを取り巻く全体の情勢との関係で見た場合、まさに画期的な地平を切り開いたということでした。特に、この3年間、組織の総力を挙げて闘い抜いてきた第2の分割・民営化攻撃粉砕、検修・構内業務の外注化阻止闘争の緒戦に決着を着けたことは画期的な意味を持つ地平です。シニア制度に対する困難な闘い、3年間にわたるスト、職場からの抵抗闘争で外注化を阻止したということです。この外注化阻止の闘いなしに、今回の成果はあり得なかったと考えています。17年間、特に、この3年間にわたる闘いの成果が結実したと確認しました。しかも、この結果は、千葉だけになりますが、当面、当局は「外注化をあきらめた」ということも意味していると思います。

●なぜこんな成果を
 実現することができたのか

なぜこんな成果を実現することができたのか。やはり17年間、どんなに困難な状況にも立ち向かって、団結を打ち固め、闘い続けたことによる勝利です。強制配転者の頑張りと職場の力関係を守り抜いた全組合員の奮闘、畑木さんの決意、これがどれ一つ欠けても、この勝利は実現できなかったということだと思います。もう一つは、17年間挑み続けてきた結託体制、JR総連革マルとJR当局の結託体制が崩壊したということです。JR体制の三つの矛盾が噴出(①カクマル結託体制の崩壊、②そして安全問題、③そして要員問題)、この3点の矛盾を的確にとらえ、無期限の非協力闘争を決断し、ここから勝利が導き出されたということです。
無期限の長期非協力闘争という困難な闘いの方針のもとに、畑木さんを先頭に全組合員が固く団結した、それが大変な迫力をもって当局を圧倒したということです。しかし、この切り開いた地平が大きければ大きいほど、これに対する反動攻撃がしかけられることも間違いありません。残された課題も含めて、闘いはまだ始まったばかりだという認識で、全組合員が一致し、04春闘を焦点とした新たな闘いの闘争体制を確立して、続く第2波の闘争にわれわれは立ち上がっていきました。

●「 運転保安春闘」

第2波の闘争は、全活で確認したとおり、3月13日のダイヤ「改正」を焦点に、3月12日から14日にストライキを配置、要求の解決を求めました。本線運転士を含む3月12日の泊まり勤務者の出勤時から14日の明け勤務終了時まで、予備勤務者については12日出勤時から14日まで、そして木更津支区の場合は13日一日間、地上勤務者(検修、営業等)は、3月12日の正午から14日の明けの勤務終了時までとしました。
当初、3月12日も一日間(朝から)ストを入れ予定でしたが、幕張支部から申し入れがあり、「午前中半日仕事して、午後から闘争に入れば、スト破りの人間たちがそ職場に出てきてくるので、動労千葉の組合員が接触でき、労働者はどのように闘うべきかを訴えられる」と。そういうことも考えて、正午からストという戦術をとりました。そして、ストライキへの支配介入、妨害行為、長期非協力闘争の確認事項の不履行等があった場合は、戦術を拡大するということを通告しました。この3月13日の第2波のストは、貨物は対象外としました。そして、3月13日に千葉市民会館の小ホールで、04春闘勝利、反合・運転保安確立、スト貫徹、動労千葉総決起集会を開催しました。
そのストの過程で、総武支部の支部長の吉野幸成さんが、十何年にわたって西船橋駅の特別改札に強制配転されていましたが、幕張電車区に原職復帰するという勝利をかちとりました。
その第2波の闘争については、「運転保安春闘」として闘いました。今、安全が崩壊しているような状況で、度々『日刊』等でも宣伝しましたが、レールが割れるような状況がありまして、当局は「割れる」という言い方はしないんですけど、実際、割れていなければ、信号機があおるような状況にはならないんですね。「ヒビが入った」というような言い方をしていたんですけど、自分が初電で、その前に貨物列車が走っているんですけど、信号機が赤になったり青になったりしちゃうんですよね。レールがくっついていれば電流が通っているから、あおったりしないわけです。電気の接点も一緒で、少しでもくっついていれば電気が通っているわけですよ。離れていなければ、誰が見てもそうはならないわけす。それに対して、会社当局は事故隠蔽を図るような内部文書を出しました。この文書は国労の組合員から回ってきたんですけど、本来なら国労がもっと摘発しろということなんです。動労千葉の組合員は、運転職場、検修職場、営業職場にいるんですけど、保線の職場とか電力、信号・通信の職場にいない。圧倒的に国労組合員が多いわけです。そういう摘発とかも、われわれ動労千葉のところに来ればどんどんやりますし、情報は欲しいんですけど、やはり国労は、自分たちの組合員が多数を占める職場でそれをやらないというのは問題なんです。
こういう問題は、すべて規制緩和の中から、安全の切り捨て、要員の削減、その中から安全はもう崩壊の危機に入っている。そして、われわれ動労千葉の組合員は列車の一番先頭でハンドルを持ちますし、そして乗っているお客さんたちの命にもかかわる問題だとして、これを社会的に明らかにしていく、そういう春闘として第2波ストを構えました。
そんな中で当局は、交渉の過程で、線路破断の隠蔽問題については謝罪をしてきました。そして、安全の崩壊の危機の社会問題化は、『日刊』でも報告をしてありますが、記者会見を開きまして、毎日新聞は、このように「線路破損、今年もう4件」という形で出しました。今までは動労千葉がストをやっても、小さく「動労千葉、スト突入」とか書かれるだけだったんですけど、やはりこういうふうに安全問題を大きく取り上げさせた。安全問題に、世間でも大きな焦点を当てさせるような大きな意味を持つ闘争だったと確認しました。
その中で、われわれは04春闘の過程で、組織拡大も第一義として位置づけてやってきましたが、具体的に組織拡大を実現するには至りませんでしたが、組織の総力を挙げて取り組み、新たな一歩を踏み出したと確認しました。

●3・20国際反戦行動

第2波ストを受けて、04春闘回答段階に、第3波の闘争を構えました。3月29日に、ベアゼロ回答打破、貨物新賃金制度絶対阻止に焦点を当てた闘いを組みました。
その間に、3・20の国際反戦統一行動もありました。完全な統一行動として実現することはできませんでしたが、これまでの壁を乗り越えた大統一行動に発展する、その第一歩を切り開いた。そして全国的には約400カ所で集会が開催された。20労組、平和フォーラム、ワールドピースナウはそれぞれ日比谷公園で集会を行いましたが、全労連は芝公園で分裂集会でしたが、その後、一部デモが日比谷に結集せざるを得ない、そういうような状況を生みだした。そういう地平を切り開いた闘いだと考えています。
3・20をやはり04春闘最大の攻防の焦点、階級敵力関係を変革する突破口にしようと位置づけて、自らの闘いも、その起爆剤にする立場で、動労千葉は全力で取り組みを行ってまいりましたが、大きな意義を持つものだったと確認しています。世界でもニューヨーク10万を始め、300都市、60カ国で反戦闘争が闘われるような状況をかちとりました。

● 貨物支部を中心にスト

そういう中で、われわれは3月29日、貨物支部を中心にストに入りました。貨物は、年功序列制賃金の破壊の新賃金制度の導入が今年度中には出る予想だったんですが、今この段階では阻止しています。しかし、いつ出されてもおかしくないような状況です。貨物職場は5年連続ベアゼロで、「黒字になったら出す」と言っていたんです。今回は石原がディーゼル規制をやり、ある程度、業績が伸びて黒字だったんです。それにもかかわらずベアゼロです。
東日本の場合は、JR発足以来の史上空前の利益、黒字をこの3年連続ですが、それでもベアは一切出すことがない。それに対する抗議の意味を込めた闘争として、われわれは構えて闘いぬきました。
そんな中で、JR東労組は早々とベアゼロを裏切り妥結しました。そして何より許せないのは、その議事録確認の中で、東労組は会社と一体となって、「経費節減、効率化にこれからも労使一体となって取り組む」という条項まで盛り込む。これはとんでもない話だということで、ここに対して異議申し立てをするところがないということで、われわれ動労千葉は、この3・29ストも大変な意義を持つものだったと考えています。
職場の中でも、東労組の「平成採」、いまだ20代の組合員がいるんです。われわれ動労千葉組合員は平均40歳以上になっていますから、そこそこの基本給をもらっているんですけど、「こういう形でやってきたら、若い人間はあと10年、20年、食っていけないような状況になるんだぞ」と言うと、「本当にそうですよね」って話を聞きます。だから「闘わなければいけないんだ」「お前らの組合は、こういう裏切りをやっているんだ」ということで訴えかけています。
この04春闘段階では、われわれ動労千葉の組織拡大はなりませんでしたが、この04春闘の決戦段階のストライキの中で、何を一番総括しなければならなかったかと言うと、やはりJR結託体制が崩壊した中で、分割・民営化後初めてJR体制に風穴を開けた。そして大きな成果をかちとった。正しい方針のもとで闘い、団結することで、やはり勝利できるということを、動労千葉の闘いが今回示したということ。そして、この成果に対する反動が必至の状況の中で、やはりJRの抱える革マル問題、安全問題、そして要員問題、この三つの矛盾を突きまくっていけば、われわれは勝利することができることを示しました。そして、この闘いを今回やりきった。

● 情勢は、「9・11」で
    決定的に変わった

この成果は、3・20におけるイラク反戦闘争へとつながった。そして残る課題は組織拡大ですが、やはり動労千葉は、JRの中でかちとった地平、そして3・20が大きく広げたこの地平、この両方の地平を本物にする、確固たるものにするために、これからも団結して闘い続けなければいけないということを確認しています。
やはり、運動はその時々の国内外の情勢に大きく左右され、その中で進展していく。それ自体大きなうねりの一環を形成しているということで、われわれの闘い、現場での闘いも大きな流れと一体となった、本当に一つの同じ闘いであるということを確認しました。
よく中野顧問も動労千葉も言っているんですけど、「情勢は、9・11で決定的に変わった」ということ、それを本当に実感して闘わない限り、勝利は来ないということです。そして、われわれ動労千葉の闘いが、これはインターネット等の普及、山本さんの協力等もありまして、国内の関生、港合同、動労千葉、その3労組のつながりだけでじゃなくて、世界的にも韓国、サンフランシスコ、日本と、こういうふうに闘いが広がっていった。そして、われわれが求めているのは、こういう闘いの広がりです。国内で大きく労働組合が一緒に闘うということ。
労働者はみんな怒りを持っている。しかし、それに統制をかけているのは連合であり、全労連です。労働者の怒りを押しとどめている状況に風穴を開ける闘いにしなければなりません。
その中で、連合の中からも全労連の中からも、本当に決起が始まっているということを、動労千葉は実感しています。動労千葉の労働学校に、全労連系の組合員、共産党系の組合員等が結集してくる。動労千葉は「過激派だ」、「動労千葉と一緒にやったっていいことはない」とか言われますが、やはり原則を守り闘い抜いていけば、この困難な情勢で闘わなければ殺されることは、はっきりしていると思います。

●血を流すことを恐れるな

動労千葉はいち早く、「55年体制が崩壊した。そして新たな時代に入った」ととらえました。奥田ビジョン、小泉の登場、そしてイラク自衛隊派兵、今の状況は、敵のシフトが完全に変わったということです。55年体制が終わったということは、戦争する国になるということですし、労働強化をして、国が生き残るために、労働者を虫けらのように殺していくような状況であることをはっきりと見すえ、多少の妥協をすればおこぼれをもらえるんだというような状況ではないということです。それは皆さんも実感していることだと思います。
今回の国会に出されたあらゆる法案を通して見てもそうですし、動労千葉や現場の皆さんの周りでも、そういう攻撃が本当に襲いかかりつつある。労働者は虫けらのように殺される。ここに目を向け、労働者は連帯しなければいけないんだ、団結しなければいけないんだということです。ストライキをやること自体が大変かも知れませんが、決起することはできます。それは、様々なリスクをしょい込みますが、やはり敵がわれわれに奴隷として生き残るのか死ぬのかという決断を迫った時に、われわれは立ち上がらなければいけません。
動労千葉も、この十何年間闘い続けてきましたが、血を流すことを恐れて闘わなかったことはありません。一滴の血も流さずに勝ち取れる勝利もあるとは思っていません。動労千葉は、仲間の頑張り、仲間の流した血と汗の上で闘い抜いてきました。その中で04春闘の勝利の地平が勝ち取られたと思っています。これをなんとしても全体の流れと結合していかなければいけないと考えています。われわれ動労千葉は、700万と言われる連合、150万と言われる全労連傘下の労働者をいかに獲得するか、われわれの仲間として一緒に決起させるか、そういうことを第一に考えて突き進んでいかなければいけないと思っています。
国会をめぐる闘争も、この4月9、10、11日と連続闘争になって、13日に国鉄闘争支援の大集会が予定されています。いまだ全労連系というか共産党系の中では、「動労千葉排除」の動きもありますが、労働者がそういうことをしているような状況ではない。われわれを差別する者は差別すればいいけど、われわれ動労千葉は闘う者を逆に差別する気は全然ないし、一緒に闘わなければいけないことを確認しています。これなしに闘いが勝てることはないと考えています。国鉄闘争はまだ終わっていません。国労闘争団がいまだふがいないとはいえ、存在している。そして、全動労争議団、そして何よりも動労千葉が残って、国鉄の中、JRの中に残って、ストライキを元気に打ち抜いている。国鉄分割・民営化攻撃はやはり完成していません。分割・民営化攻撃というのは、国鉄労働運動を完膚無きまでに解体する攻撃でした。それなしに分割・民営化は貫徹しないということです。1047名闘争は残っています。そして動労千葉、国労、全動労の闘う仲間が3労組、3争議団の陣形として残っている。ここを敵はやはり突いてくると思いますが、われわれもこの3争議団の陣形で闘えるように、なんとか持って行きたい。
動労千葉は、国労の「解体的再生」と言っています。何があっても国労の旗を守り、仲間を守り闘い抜く、そういう労働者、仲間を結集して、国労が闘っていけるように腹を固める、そういう国労組合員をつくる。そういう中で、動労千葉は一体となって闘って、この分割・民営化攻撃を完成させない。もう完膚無きまでに逆にこちらが打ちのめす。そういう中から日本の全体の労働運動の展望も開けていくと考えています。
動労千葉は、職場の中の闘争が条件がよくなった、それだけで満足するような闘いだとは考えていません。JRの職場の中で、国労がふがいなく、闘わないでチャレンジと一緒に向こうに行くなら、動労千葉に結集しろ。鉄産労もJR連合もそうです。東労組だけじゃなく、少なくとも運転職場は動労千葉に結集しろ。ほかの職場は国労でいいから、闘う腹を固めて決起しろ。そういう闘いをJRの中に巻き起こし、そして勝利をかちとるために闘い抜いていきたいと思います。

●仲間を色眼鏡で見ない
組織拡大闘争についても、いまだに風穴が開かない状況ですが、動労千葉に結集するということは、やはり党派的選択の要素があります。労働者としていかに生きるか、こっちの方針が正しいから来るんではなくて、生き方として通じるものがあるか。人生をかけて、これは正しいと思って闘いぬく腹はあるのか。われわれも、そこまでの問題だから簡単にはいかないことだと思っていますが、やはり絶対に東労組だろうがなんだろうが、闘う仲間はいると思います。そういう仲間を色眼鏡で見ないで絶対に結集させる。そういう闘いはJRの中だけじゃないし、皆さんの周りでもそうだと思いますが、やはりこういう中から本当に勝利の展望が見えてくると考えています。
動労千葉を、そして動労千葉を支えてくれる多くの仲間、一緒に闘ってくれる多くの労働組合を増やしていく。そして、その裾野をどんどん広げていく。その力を強化する。そういう中から労働者は結集すると思います。やはり弱いところには結集しないと思います。数はなければいけませんが、数だけではダメ。やはり力強く、そして数を広げていく。そういう闘いなしに成功することはないと考えています。労働者は力のないところには来ない。しかし、労働者は絶対に意気に感ずるところはあると思います。労働者には路線、理論が重要ですけど、理屈だけではダメだということを、われわれは実感してきています。本当に腹をくくった闘いでなければ、イラクに派兵するという状況を覆し、ひっくり返す闘いにはならないと思います。
その中で、やはり3・20の切り開いた地平も、われわれ動労千葉の切り開いた地平も一体のものです。これからの連続闘争も控えて休む暇もないような状況ですけど、この地平を確固たるものに広げていく、そのことなしにわれわれの未来はないと動労千葉は考えています。動労千葉は04春闘だけで闘いが終わったとは考えていません。もう、死ぬまで闘い続けることになると腹をくくっています。その中で、今回、本当に勝利の地平が切り開かれた。こういうふうに闘えば本当に展望が見えるんだということを、やはり内外に示したと思います。何よりも、それを感じ取ったのは、われわれ動労千葉の組合員だと思います。これをかちとることができたことで、やはり明るく闘いを打ち抜けたということです。
2年前には、連続闘争になって、ストの4日間を全部、東京、千葉、三里塚というような形で闘争になって、「国際連帯になんかなったって忙しくなるだけじゃないか」なんて言っていましたが、やはり、この間、この3年間闘い抜いてきた中で、それが結実し大きな地平を切り開いた、組合員にもそれが見えてきたと思います。そういうことを、感じない人には「何だ」という感じだけど、「ああそうか」と感じた時に、その人は本物になると思います。
皆さんも、われわれ動労千葉は先頭で闘いますので、これからも一緒に、われわれみんなが切り開いた3・20の地平を一緒にみんなで広げていきたいと思いますから、これからもよろしくお願いします。

参考に

日刊動労千葉  2004年4月13日 5861号

04春闘50日間闘争 3派のストライキに起つ!

ついに風穴が開く

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